Exhibition

Past Exhibition

2020

09.26Sat

11.15Sun

at PARCEL

Ba de ya

Osamu Mori

details - JP

今回PARCEL では彫刻家、森靖の個展「Ba de ya」を2020年9月26日より11 月 8 日まで開催いたします。PARCELでは初となります彫刻の展覧会です。本展に際して、自身も作家であり、同校出身のSIDE COREの松下氏が以下の文章を寄せくださいました。

気が滅入る程彫り込まれたディティール、荒々しい寄木とひび割れ、そして艶かしく露出する木の節やノミ跡。森の作り出す木彫作品は、まさに 彫刻が持てる空間的な存在感を拡張し尽くしたような、重厚感に溢れる表現です。造形の写実的表現においては仏師や宮大工の卓越した技巧性を感じさせますが、木のウネリやヒビ割れを意図的に利用する造形は、素材そのものの美を生かした全く異なる表現です。森の彫刻にはこの2つの相対する自然(描写 / 素材)が鬩ぎ合っています。またずっしりとした木の質感を生かした表現も特徴で、身体の形に彫り込まれていてもなお、 木が根を張って大地に立っていた頃のような重力を感じさせます。近現代の彫刻史の中でもこれほど木を彫りこめる彫刻家は数少ない、歴代の彫 刻家達にそう言わしめる程森は卓越した彫刻家です。

森靖は 1983 年に愛知県に生まれ、2009 年に東京藝術大学大学院の彫刻専攻を修了しました。学生時代から脚光を浴びていた森は、2010 年山本現代で初個展「Can’t Help Falling in Love」を開催し、大きな波紋を呼びます。そして翌年には横浜トリエンナーレ「OUR MAGIC HOUR ー世界は どこまで知ることができるか?ー」に出品するなど若くして目まぐるしい活躍を見せました。しかしその後、森は作品発表を止め、一つの巨大な 彫刻作品の制作に取り掛かります。その巨大彫刻とは人体の木彫作品としては類を見ない、4m に達するエルビス・プレスリーをモチーフとした 作品です。今回の展覧会はこの彫刻完成後初のお披露目となる、10 年ぶりの個展となります。

この巨大なエルビスプレスリー像は雌雄同体の姿をしており、ずっしりとした姿形や右手をあげる仕草は明らかに大仏を連想させ、また荒々しい寄木は今にも崩れ落ちる岩山のようです。非常にキャッチーなロックスターの人体彫刻でありながら、今にも崩れ落ちそうな荒々しさ、そして大仏を思わせるその精巧な造形が神聖さと危うさを同時に醸し出しています。このような作風の背景には、彫刻造形の限界に挑む意識の表れであると共に、この彫刻に森が取り掛かり始めた 2011年の東日本大震災との関連性を思い起こさせます。

日本で最初に作られた大仏は奈良の大仏とされていますが、その建造に背景には仏教を広げるという目的と共に、その時代に起こった様々な厄災を払うことがありました。また上野には顔大仏と呼ばれる顔面部だけがレリーフで残された大仏がありますが、これは関東大震災によって破損した後、胴体は戦時の金属供出によって失われたという逸話があります。本作も偶然か意図的か、最初は顔だけの作品として彫られ、後に胴体を足していくことで完成した作品と森は語ります。 コロナ禍の状況を踏まえ、現代の社会の混乱に対して、大仏を想起させる本作は嫌が応にも象徴的な意味を持ちます。震災から9年との時が経ち、 そして世界的に彫刻が引き倒されている現代において、彫刻の創造と破壊が混沌と混じり合う森の彫刻こそ「今見るべき」表現なのではないでしょ うか。

– 松下徹(SIDE CORE)

本邦初公開となります、大型彫刻作品を始め、未発表新作など、現代彫刻における若手最高峰と評される森の技術と表現をぜひご高覧いただけますと幸いです。

details - EN

Photo : OMOTE Nobutada Photography

森靖 / Osamu Mori
1983
愛知県生まれ Born in Aichi pref. Japan
2009
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了 MFA sculpture, Tokyo University of the Arts
–
[個展 / Solo Exhibitions]
2010
“Can’t Help Falling in Love ( 好きにならずにいられない )”, YAMAMOTO GENDAI, Tokyo, JAPAN
–
[グループ展 / Group Exhibitions]
2019
Open Studio, Studio Kodai, Japan
–
2018
“Engraved Time ( 刻まれた時間−もの語る存在 )”, Tokyo University of the Arts Museum, Tokyo, JAPAN
–
2017
“Spring Fever” Komagome Soko, Tokyo, JAPAN
–
2016
“Current Traditions :Contemporary Japanese Wood Sculpture”, Salisbury University Art Galleries, Mary Land, USA
–
2015
“New Works in an Old Studio Vol10 ( 第 10 回アトリエの末裔あるいは未来展 )”, Tokyo Univ of the Arts Museum, Tokyo, JAPAN
Open Studio, Studio Kodai, Ibaraki Pref, JAPAN
–
2014
Open Studio, Studio Kodai, Ibaraki Pref, JAPAN
–
2013
“Matter and Sculpture: From Aporia toward Memento( 物質と彫刻 )“, Tokyo University of the Arts Museum, Tokyo, JAPAN
–
2012
MI Yosakoi Art Festival, Sawada Manshion Gallery, Kochi Pref. JAPAN
–
2011
Shirokane Art Complex, shuffle exhibition, YAMAMOTO GENDAI, Tokyo, JAPAN
“Summer Art Festival – emering artists”, Ginza Mitsukoshi Dept., Tokyo, JAPAN
Yokohama Triennale 2011 – Our Magic Hour, Yokohama Museum, Kanagawa, JAPAN
“Sculpture times”, Ueno Royal Museum Gallery, Tokyo, JAPAN
“Subjective Object”, YAMAMOTO GENDAI, Tokyo, JAPAN
–
2010
TDR-ART Jarapagos Exhibition, Tokyo Designers Week, Tokyo, JAPAN
–
2009
12th Taro Okamoto Conteporary Art Award Exhibition, Kawasaki City Taro Okamoto Museum, Kanagawa, JAPAN
“Sculpture – Blues and Low Blow( 彫刻—労働と不意打ち )”, Tokyo University of the Arts Museum, Tokyo, JAPAN
–
2008
Gunma Biennale for Young Artists2008、Gunma Pref Modern Art Museum, Gunma, JAPAN
New Works in an Old Studio Vol4、Denchu Hirakushi house and atelier, Tokyo, JAPAN
–
[Awards]
2007
Yasuo Sugawara Award ( 菅原安男賞 )
–
2009
Geidai Purchase Award (Tokyo University of the Arts) 藝大買い上げ賞
–
2012
Tokyo University of the Arts Emerald Award